小学生の保護者様にときどき見られますが、
子供さんの、「できない」状態が、我慢ならない保護者様がおられます。
「できない」ときこそチャンス、失敗や間違いを繰り返すことこそが訓練、成長のもとであるのに、
先手先手を打って、成長の芽を片っ端から摘んでしまっておられます。
宿題などで生徒さんが行き詰まっている単元を見つけると、電話がかかってきます。
「道のり・速さ・時間のところがわからないと言っています。」
そういった電話をお受けした瞬間に、この生徒さんは辞めてしまうだろうと思います。
そうして大体その通りになります。
大手チェーン塾ならば、「申し訳ございません、指導を強化いたします。」と返してその場を収めるのでしょうが、
私は適当なことを言ってうやむやに済ませ、同じことの蒸し返しというのが非合理的と思いますので、
「お母様が気付いた分野は氷山の一角で、その100倍くらい、理解できていない分野はございますので
優先順位を考えて、肝心な部分から指導させていただいております。」と、
ありのままを答えます。
意に沿った答えが返ってこなかったお母様は若干熱くなられ、
「そしたら、どうすればいいんですか?」
「放っておいてください。」
「分からないままにして置くってことですか?」
「勉強に対する姿勢や意欲や習慣といったものを固めることがいまは大事です。
目先の細かいことにとらわれていると、子供さんが勉強自体いやになりませんか?」
「み・は・じはどうするんですか?!」
「私の塾の卒業生で、み・は・じがわからないままだった生徒さんは一人もおりません。
しかるべきタイミングでしっかり指導いたします。おまかせくださいませんか。」
要するに、みはじを教えても、意欲がなければ覚えないし、すぐ忘れてしまうわけで、
みはじをわかりたい、という意欲や姿勢を育てることが何よりも大切なのです。
そういった意味で、集団指導での切磋琢磨は大事です。集団の中で伸びる子が優秀な生徒さんと言えます。
私が基本的に個別指導のみの生徒さんを受け入れないのも、そういう訳からなのです。
こういうお母様のお子さんは、驚くほど同じタイプで、受身的で表情がなく、
実力も10段階の5~6ぐらい、意欲も感じられず、それに対してお母様がますますイライラ、
結局やめてしまい、塾を転々とする。
厳しく見えても、実はこういうお母様の行動はたいへんな過保護にあたります。お子様は、
どんなにうるさくても、他人より親が自分を愛している、お母様のいいなりにしておいたほうが平和だ、
と見抜いています。放置なさっている保護者様よりはだいぶんいいですが、過保護に育てられた
お子様は、ある程度のところまでは伸びても、いざ真剣勝負というときに、底力が出ず、
成功しないケースが多いと言います。保護者様におかれましては、できれば、
生徒さんと指導者との一騎打ち、という関係を応援していただきたいものです。
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